第2章 病名が告げられた日(前編)

病と共に
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前編〜異変の始まりと最初の診断〜

最初に“異変”を感じたのは、7月に入ってすぐのことだった。
口内炎ができ始めたのだ。
それも1つや2つではなく、4つ、5つと次々に増えていき、食事を摂るのが辛くなっていった。

それを皮切りに、異変は連鎖のように僕を襲った。
どれだけ眠っても疲労が抜けず、朝は時間どおりに起きることすら難しくなっていった。
仕事では、徐々に以前のように動けなくなり、まるで身体に重い鎖が巻きついていくようだった。

ある日、鏡に映った自分の姿に、違和感を覚えた。
明らかに――痩せていた。
体重計に乗ると、かつて68kgあった体重が、58kgまで落ちていた。
特に食事制限もしていなかったのに。

このとき、ようやく「病院に行くべきだ」と思った⸻

家の近所に、評判の良い病院があった。
医師も親身で優しいと聞いていたので、そこを選んだ。

診察を受け、症状を伝えると――
下された診断は「肝機能障害」だった。

ようやく原因が特定された。
僕は安堵し、家族や彼女(現在の妻)にもすぐに報告した。

「肝臓のことなら、薬で治るかもしれない」
そう思ったし、彼女も電話越しに、少しほっとしたような声で「よかったね」と言ってくれた。

その一言が嬉しくて、僕も少しだけ笑った。

やっと日常が戻ってくる。

その時は、心からそう思っていた――

次回予告

ーー誰にも届かない不調。
重なる誤診、増していく孤独。
けれど、諦めなかった――

そして、ようやく辿り着いた“名前”。
それは、救いであり、新たな苦しみの始まりだった。

次回、第2章(後編)
“病名が告げられた日”

それは新たな試練の始まりだった

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