【心に残る作品との出会い】

日常と心
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僕はアニメやゲームが好きである。

学校が休みの日は、よく1日中テレビ画面に齧り付いていて、親に怒られたものだ。

そんな僕だから、さまざまな作品と出会ってきた。

そんな中、僕が中学生の時に”運命”の出会いをした作品があった。

その作品との出会いは、自分の人生観や、以後の行動指針までをも決定づける出会いとなった。

それが――

ノベルゲーム”Fate/stay night”である。

Fate/stay night――それは魔術師と呼ばれる者たちが、伝説の英雄を従えて「聖杯」と呼ばれる願望機を巡り戦う物語だ。

だが本当に描かれているのは戦いそのものではなく、登場人物たちが何を信じ、どう生きようとするのかという「人間の在り方」だった。

彼らにはそれぞれ“信念”や“願い”があり、それらを抱えながら、戦いの中に身を投じていく。

その中で――

ある者は答えを見つけ、ある者は失望の中で敗れ、またある者は敗れはするが願いを成就させる。


そのいずれの人物も、”善人”か”悪人”かでは語ることはできないほど、複雑な人間模様が描かれている。

僕はその中でも、主人公の「衛宮士郎」に強く惹かれていた。

彼は幼い頃、大きな災害に巻き込まれて、何もかもを失った。しかし、彼を救ってくれた人物がいた。

その人物こそが、空っぽだった彼に”生きる理由”を与えたのだ。

それが”正義の味方”になることである。

彼、衛宮士郎はその「正義の味方になる」という理想のために、自分のことは一切顧みない。

他人ばかりを優先して、それが自分の生きる理由になっているという、どこか歪んでいて、けれどとても魅力的なキャラクターだ。

そんな彼の行動が、僕の心を幾度となく震わせ、滾らせた。

その最初の場面が、彼が愛する人を守るために、絶対に勝てないであろう最強の敵に立ち向かった場面だ。

彼は致命症を負いながらも、

“彼女を守りたい”

その一心で立ち上がり続けた。

その時の彼の心理描写が詳細に描かれていて、僕は初めて”心が震える”経験をした。

彼はそれがどのような形であれ、自分の中の”理想”を曲げることをしなかった。

たとえ絶望の淵に叩き落とされようと、周りや未来の自分に否定されようと、彼は最後まで自分の”理想”を貫き通した。

「自分もこんな人物になりたい」

僕はその時に初めて誰かの”生き方”に憧れたのだ。

彼のような人物に近づく第1歩として、僕はまず筋トレを始めた。

まさかこの筋トレが、30代になった今も尚続いているなんて、人生とは何がきっかけで変わるのか分からないのがおもしろいものだと思う。

とにかく、僕はこの”fate”と出会ったことで、今後の自分の行動指針や価値観の方向性が定まったと言っても過言ではないだろう。


あとがき

ここまで読んでいただいてありがとうございます。

このfate stay nightという作品に出会って、それまで友人も目標もなく、家に引き篭もって生きていた僕の人生が変わっていきました。

この記事で書いたように、主人公の衛宮士郎くんに憧れて、リアルの人生でもほんの少しの勇気を持つことができたおかげだと思います。

人は、ほんの些細なきっかけで良い方向にも悪い方向にも流れて行ってしまうものだと思います。

僕は、僕の書く文章を読んだ人が、良い方向に向かう小さなきっかけになってくれたらなと、大それたことを考えながら書いています。

どうか僕の書く言葉たちが、皆さんの心を少しでも温かくできますように。

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